2009/05/03

メアリーに首ったけ—The Shangri-Las




 60年代は、ガール・ポップやアイドルの全盛期で好きなアーティストも多いですが、ガール・グループの中でもダントツに好きなのはThe Shangri-Lasです。このグループ、一般の元気で明るいガール・グループのイメージとは違い、ちょっと影があるというか不良っぽいというか、まあ、一番の魅力はメイン・ボーカルのメアリーの可愛らしさなんですけどねえ。見た目もすごく今っぽいし、歌ってる時のしかめっ面とアヒル口が堪りませんねえ。もちろん歌い方や声も大好きですよ。
 この曲は「Leader of the pack」、当時の邦題は「黒いブーツでぶっとばせ」です。「Leader of the pack」は直訳すれば、「族のリーダー」ってことになりますかねえ。暴走族、ではないんだろうけど、バイク乗りの若者グループのリーダーが彼なんですが、これはその彼が事故って死んでしまうという歌なのです。そう考えれば邦題の「黒いブーツでぶっとばせ」は些か不謹慎、映像でもメアリーの悲しげな表情が印象的で、さらにぐっときます。



 続いてはIsley Brothersの「Shout」のカバー。これまたいいですねえ。「Shout」といえばLuluですが、それと比べてみても色褪せていないといか、全然古くさくないです。60年代のガール・ポップの人たちは、当時はバリバリのパーマヘアだったせいか、見た目がすごくおばさんぽいのですが、メアリーはストレートのロングですからそんな心配もありません。声質もみゃーみゃーと猫声のわりにべたべたしていなくて、すごく心地いいというか、かなりツボにはまります。
 The Shangri-Lasのデビューは1964年、もともはメアリーとその姉のベティ、双子の姉妹のメリーアンとマージの4人組でした。ところがベティがステージ恐怖症で人前に立つのを嫌がり、その後は3人で活動するようになります。初期の写真は4人で写っているもののありますが、その後は3人の写真ばかりなので、世間的にはThe Shangri-Las=3人組のガールグループというイメージが強くなっています。続いてはその貴重な4人メンバーでの映像。



 この曲「Right now & not later」は、デビューから1年後の65年のシングル曲ですが、この映像にベティが参加しているのは何故でしょう。そういえば同じく65年に出た彼女たちのセカンド・アルバムのジャケットでは4人の写真が載っていますから、一時的に復活していたのかもしれませんね。ベティには悪いですが、メリーアンとマージが同じ顔の双子なので、その真ん中にメアリーがいる3人組の方が私的にはしっくり来るような気がします。



 これはなかなか大胆な映像。メアリーより双子の方がフィーチャーされてます。メインボーカルが可愛いのでなかなか触れられることのない二人ですが、結構スタイリッシュでカッコいいです。この「out in the street」も65年の曲ですが、曲調が微妙にサイケ、ソフト・ロックっぽくなってきました。歌詞の内容もそれまでの「恋する乙女」的な能天気なものから、思春期の少女の心の中の光と影をシリアスに描いていたりと、The Shangri-LasはR&Bやビートルズなどのビートグループの単なる女の子版だったガールポップを、一歩先に進めた功績があると思います。この曲などは、ソフトロックの名盤といわれるWendy & Bonnieの『Genesis』あたりを思い出させます。



 最後は再び4人での映像。The Shangri-Lasのもう一つの代表曲で、ファースト・アルバムでは「Leader of the pack」を押さえてA面Topに収録されています。結局The Shangri-Lasは、2枚のオリジナル・アルバムと十数枚のシングルを残して、1968年には活動を停止してしまいました。しかし解散後も彼女たちの人気は衰えることなく、これまでに何種類ものベスト盤がリリースされ続けています。ところで彼女たちのグループ名である「Shangri Las』とは、『失われた地平線』(1933年)や、『チップス先生さようなら』(1934年)で有名な作家ジェームス・ヒルトンの、その『失われた地平線』に登場する「理想郷」の名前です。

『Leader of the pack』