さあ、今度はイギリス編。60年代のイギリスもガール・ポップに事欠かないですが、アメリカではガール・グループが主流なのにイギリスはソロ・シンガーが主流なのは面白いですね。イギリスのガール・ポップを知りたければ、昔なら『Here comes the girls』のシリーズ、最近は『Dream Babes』のシリーズでしょうか。いずれもVol.10くらいまで出ていて、さしずめイギリスのガール・ポップの百科全書といった感があります。まあ、それだけ多くのガール・ポップのアーティストが60年代のイギリスにはいたということですね。
そんなイギリス勢の中で、フランス・ギャル関連で忘れてはならないのが、このTwinkleです。というのは彼女、当時英語で「夢見るシャンソン人形」をカバーしているのです。それは後ほど紹介しますが、先ずは彼女の自作曲だと云うヒット曲の「Terry」から。ガール・ポップというより、ティーン・ポップと云いたくなるような甘く優しい曲で、今聴くとオールディーズの範疇を出ないですが、彼女は歌い方も声もとてもあどけなくて子供っぽく、見た目もロングの金髪ですごく可愛いです。(実は当時のイギリス・アイドルもフランスと同じで皆さんあまり可愛くありません。)因みにこの「Terry」の歌詞は、先日紹介したThe Shangri-Lasの「Leader of the pack」と同じテーマ、つまり彼氏がオートバイの事故で死んでしまうというものです。好きなものは似るんですかねえ。
続いては「Golden Lights」。この曲、何処かで聴いたことありますね。そうです、シャンタル・ゴヤがカバーしているのです。殆どアレンジはまんまで、シャンタル・ゴヤの仏語の歌詞では、「Golden Lights」は「Dans la nuit」(“夜に”という意)となっています。軍配を上げるならもちろんシャンタル・ゴヤ(私、やはりフランス人にはめっぽう弱い)ですが、オリジナルのTwinkleヴァージョンもなかなか可愛らしいです。この曲は、80'sに青春を過ごした方ならThe Smithsのカバーが思い出されることでしょう。
続いて「End of the World」。この曲もカバーが多いですが、これはなかでも個人的には一、二を争う出来です。(もちろん1位はクロディーヌのヴァージョンですが。)こういう曲をこの素っ気なさとあどけなさで歌われると堪りませんね。ブリティッシュ・イングリッシュのRの発音がいちいちキュート。まあ、こういうのが私のツボなんですね。皆さんにはどうでもいいことですが…。
という訳で最後は「夢見るシャンソン人形」の英語版カバーです。英語題は「Lonely Singing Doll」、悲しき歌う人形ということですか。“Poupée de cire, poupée de son”の部分は、“I'm just a lonely singing doll”と歌っていますので、タイトルからしてもpoupee de sonを音の人形=歌う人形と解釈した感じですね。まあその辺の考証をし出すと切りがないのでやめますが、フランス・ギャルのオリジナルと比べると、出だしのメロディが微妙に違いますが、アレンジなどは概ねフランス・ギャル・ヴァージョンを控えめに踏襲しています。当時この曲をTwinkleがカバーした経緯はよくわからないですが、大ヒット曲のカバーでしかもフランス・ギャルですから、負け戦を覚悟の上にしてはよく出来ていると思います。
それにしてもこの時代の乙女たちの音楽には、ピュアさというか、素直さというか、素人くささというか、そういうものがあって、過剰にビブラート効かして歌い上げるだけが歌の上手さだと思っている昨今の音楽からすれば、まるで野に咲く花の如く、なんと可憐な存在なのでしょうねえ。
『Golden Lights』

