何ともおおらかでぶっきらぼうに感じる歌唱で、思想が未熟というか思考が単純な感じですが、下手に感情を込めて捏ねくり回されるより個人的にはこっちの方が断然いいです。60年代初期のアメリカン・ポップスは殆ど聴いていないですが、スペクター好きの頃に聴いたTeddy Bearsの「To Know Him Is To Love Him」とかに近いものを感じます。そういう素っ気なくて装飾感のないあっけらかんとした感じが、逆に儚げな印象で良いのかもしれません。Skeeter Davisはもともとカントリー系の歌手だそうですが、ポップス系のカントリー系のようで、カントリー側からはポップス寄りの邪道、ポップス側からはカントリー歌手と言われ、まるで鵺か蝙蝠の如く語られることが多いようです。
さて肝腎の歌詞の内容ですが、簡単な英語ですので皆さんもお分かりでしょう。「私があなたの愛を失ったとき、世界は終わったというのに、なぜ太陽は輝き続けて、私の心臓は鼓動をし続けるのかしら」ってな感じで、失恋の痛手に自分を相対化できずに悩み苦しむ乙女心が満開の内容です。一説によれば、この歌は恋人を失った悲しみを歌ったのではなく、親しい人を無くした悲しみを歌った歌だとも言われており、Skeeter Davisは、デビュー当時に組んでいたデュオ・グループ、Davis Sistersのパートナーで、彼女の高校時代からの友人であるBetty Jack Davisを交通事故で失っており、その経験にオーバーラップさせているのかもしれません。
続いて紹介するのはJulie Londonのヴァージョン。大人ですねえ。スモーキー・ヴォイスなんて言われているようですが、そのけむり声に咽せそうです。Julie Londonという人も、素人には女優なのかポピュラー歌手(死語)なのかジャズ・ヴォーカルなのかよくわかりませんが、まあ、恐らく全部なのでしょう。これだけの大人の色気ですから、残念ながら私には対象外なので、その辺りの事情はよく知りません。このJulie Londonのヴァージョンで気になるのは冒頭の部分の歌詞で、オリジナルでは“Why does the sun go on shining?"となっている部分を、“Why does the sun keep on shining?”と歌っています。goとkeepの差は微妙な差ですが、これは故意なのかJulieの歌い間違いなのか、大した差ではないですがちょっと気になります。
次はJoni Jamesです。可憐な乙女系かと思いきや「しゃい〜〜ぬ〜〜んぐ」と以外と捏ねくり回し系なんですねえ。それとtheyとかcauseとかdoとかcanとかmorningとかunderstandとか、いちいち発音が気になります。英語の発音の専門家ではないので、地域、年代などの違いによる発音の違いなんて全く知らないで言ってますが、“When I”も“ウェナイ”と行かずに“ウェン・アイ”と区切るんですねえ。歌い方もあるのでしょうが、私が聴いた限りの英語の歌手の中でもかなり特殊な英語の発音に感じます。この人もジャズ・ヴォーカルではないのか、ポピュラー歌手なのか微妙な方です。まあそんな区分けはどうでもいいですけどね。
続いてはNancy Sinatra。見た目はかなり濃い感じで、日本のちょっと前のギャル系っぽい感じですが、声は可愛らしいですね。歌い方は、これも以外と溜めが多くて、もう少しさらっと歌ってもいいんじゃないかと思います。まあ、クロディーヌのヴァージョンを国際評価規準に話してるんで誰と比べてもそうなっちゃうんですが…。こうなるとオリジナルのSkeeter Davisの田舎娘っぽい素朴さが余計に魅力的になってきました。
クロディーヌのレーベルメイトということならCarpentersですね。Karenは歌い方も声もとても健康優良な感じで、私には引っかかりが無さ過ぎて残念ながらそのままスルーしてしまうんですが、つやのある伸びやかなヴォーカルはいまだに絶大な人気があります。クロディーヌは「We've Only Just Begun」や「Close To You」もカバーしていますので、またいずれ登場することになるでしょう。
さて、では最後にクロディーヌのヴァージョンを、と思ったら、残念ながらYouTubeにはクロディーヌ版の「The End of The World」はUPされていませんでした。下記のアマゾンのリンク先でちょっとだけ試聴ができますので、よろしければそちらをどうぞ。
★楽曲メモ
タイトル:「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」
原題:The End of the World
作詞:Sylvia Dee
作曲:Arthur Kent
オリジナル:Skeeter Davis (1962)
クロディーヌの収録アルバム:『恋の面影』(B-5)
『恋の面影』

